GASTROSCOPY胃カメラ検査
ピロリ菌pylori
胃がんの8割がピロリ菌感染によるものといわれます。胃疾患のリスクを軽減するため、感染検査や除菌治療をおすすめします。
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ピロリ菌とは
正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」。 人の胃から発見された0.5 × 2.5~4.0μmサイズの細菌で、胃の中を回転しながら移動するための数本のべん毛を持っています。
酸素の存在する大気中では死滅する弱い菌ですが、感染していったん胃の粘膜に侵入すると、胃の中にある尿素を分解してアンモニアのバリアを作り出し、強い酸性の胃酸の中でも除菌しない限り生息し続けます。
ピロリ菌の感染経路は不明ですが、免疫機能が十分ではない幼児期に、飲み水や食べ物を介して口から菌が入ることで感染する可能性が高いとされています。また、乳幼児期に親族から口を介して感染している場合もあります。【ピロリ菌の年代別感染率】 全般的に感染率は減少していますが、2010年代になっても、50代で4割以上、70代以上で半数以上が感染しています。
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ピロリ菌と胃疾患
ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌がつくりだすアンモニアなどによって胃の粘膜が傷つけられ、慢性胃炎が起こります。
この炎症が続くことで、胃の粘膜を防御する力が弱まり、ストレスや塩分の多い食事、発がん物質などの攻撃を受けやすい無防備な状態となります。その結果、胃の粘膜が薄くザラザラな状態になる萎縮性胃炎となり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こします。
さらに、ピロリ菌が作り出すCagAというたんぱく質が、潰瘍になった細胞をがん化させることで、胃がんの発生原因になるとされています。【ピロリ菌と胃がんの関係性】 全般的に感染率は減少していますが、2010年代になっても、50代で4割以上、70代以上で半数以上が感染しています。
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ピロリ菌の検査
胃カメラ(胃内視鏡)検査および胃レントゲン検査で、「胃・十二指腸潰瘍」と診断された場合、または、胃カメラ(胃内視鏡)検査で「慢性胃炎」と診断された場合、ピロリ菌に感染しているかを調べます。
ピロリ菌感染の検査にはさまざまな方法があります。
当クリニックでは、血液や便、呼気などによって、胃全体から診断することが可能な、身体への負担が少ない検査方法を採用しています。【検査方法・費用】尿素呼気試験法自費診療 4,400円(税込) ピロリ菌が出す酵素によって、尿素が分解される性質を利用し、
尿素の試験薬を服用して、服用前後の呼気を集めて診断する方法です。血中ピロリ抗体検査自費診療 3,300円(税込) ピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体をつくります。
血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。
尿素呼気試験
検査用の薬を飲み、一定時間経過した後に、吐き出された息(呼気)を調べて、
ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
検査手順
- 呼気を採取
- 薬を服用
- 5分横になる
- 15分座る
- 呼気を採取
検査を受けるうえでの注意事項
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1 .食事の制限
午前中に検査予約がある方は
前日夜9時以降の食事は禁止となり、当日は絶食です。
午後に検査予約がある方は、朝食を7時までにすませて下さい。
※お水は飲んでも構いません。(お水以外の飲み物は禁止です) -
2 .薬の内服
下記の薬は、尿素呼気試験を受ける2週間以上前より服用を中止して下さい。検査の判定が偽陰性になる場合があります。
- プロトンポンプ阻害薬(PCAB/PPI):
- タケキャブ、ネキシウム、
パリエット、オメプラールなど
- 胃粘膜保護剤:
- アルサルミン、ガストロームなど
- 抗生物質・抗菌薬:
- サワシリン、クラリスロマイシン、クラビットなど
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ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌の除菌治療には、2種類の抗菌薬(抗生物質)と胃酸の分泌を抑える薬の3種類の内服薬が用いられます。これを一週間服用することで、99%の方が除菌に成功すると報告されています。
薬の服用が終わったら一定期間後(8週間後以降)に、ピロリ菌が除菌されているかの判定検査を行います。
ここで除菌が確認されなかった場合には、3種類のうち1種類の抗菌薬を変えて、改めて内服薬による除菌治療(二次除菌)を行います。
※三次除菌以降は、保険適用外となります。【治療の流れ】